2024年3月20日(水)、栄光キャリアルートが実施した「家族でバードウォッチング×科博」の様子をお伝えします。
[目次]
教室や教科書では学べない「本物・本当」の「めったにできない」体験に「チャレンジ」することで、これからの未来を自分で考え自分で決める「力」を育む、未来の自分探し講座です。
各分野で活躍するその道のプロが指導する、旅行会社等のレディメイドな講座でなく、楽しみながらも「学ぶ」という学習塾としての栄光の特徴をコンセプトとしたオリジナルの唯一無二の講座となります。
普段、公園などで鳥を目にしますが、どれだけの鳥の名前を知っているでしょうか?そしてその鳥はどこから来たのか?これからどこへ行くのか?食べ物は?
この講座では、日本野鳥の会から鳥のエキスパートをお呼びして、大都会の上野公園と国立科学博物館を舞台に、家族で鳥について知り尽くします。
当日の天気予報を見ると、春の天気の特徴である不安定な天候で、チェックするたびに予報自体もコロコロ変わる状況です。
そんな中、真っ青な空のもとでの集合となりました。
まずは日本野鳥の会の萩原先生の紹介から始まります。
今日使用する教材として、身近な鳥が掲載されている日本野鳥の会発行の「おさんぽ鳥図鑑」と、この図鑑に掲載されていない今日見ることができそうな鳥をまとめたワークシートが手渡されます。
そして、先生はまるでサンタクロースが持っているような袋からひとつひとつ双眼鏡を取り出して、希望する家族に手渡していきます。
早速、双眼鏡の使い方のレクチャーです。
双眼鏡は使ったことはあるけど、正しい使い方は知らないという方も多いかもしれません。
先生から「まず、目標を決めましょう!そして右目を閉じて、左目だけで目標を見ながら調整します。次に、左目を閉じて右目だけで目標を見て調整します。」と説明がありました。そして、「双眼鏡で見てはいけない物は何でしょう?」の質問に対して参加者が考えていると「それは太陽です!」と答えが発表されました。
「双眼鏡を逆にして自分の指を見てみましょう!」という声で参加者が双眼鏡をひっくり返して見ていると、「その指をどんどん近づけてみて!」という指示があり、参加者からは「指の指紋までよく見える!」と声が上がりました。
先生は「そう。双眼鏡を逆にすると、虫メガネになるんです。みなさんは虫眼鏡で太陽の光を使って紙を焦がしたことはないですか?」と投げかけます。すると、
特にお父さんお母さんから「あります!」「昔、実験でやりました!」の声が聞こえてきて、先生は「双眼鏡は虫メガネと同じように太陽光を集めますので、双眼鏡で太陽を見ると目が焦げますよ!」と説明していました。
準備も整い、バードウオッチングに出発です。不忍池を目指して歩きながらの観察です。
耳を澄ますと、色々な鳥の声が聞こえます。
先生は「あそこの木で一生懸命ツボミを食べている鳥を見てみましょう!」と声をかけ、参加者は先ほど習ったとおりに双眼鏡を覗きます。
先生は「あの鳥は『ヒヨドリ』といいます。日本ではとてもよく見られる鳥ですが、日本と朝鮮半島しか生息してないので、実はとても貴重な鳥なんですよ!」と伝えていました。
参加者からの「先生!スズメがいた!」の声に先生は「図鑑を見てみましょう!鳥を見分ける基準となる鳥を「ものさし鳥」と言いますが、鳥の半分以上はこの「スズメ」くらいの大きさなので、とても重要なものさし鳥なんです。いちばん皆さんに馴染み深い鳥ですよね。」と投げかけ、「鳥の全長は、くちばしから尾の先までの長さを言います。オナガのように尾が長い鳥は全長も長くなるんですよ。」と説明がありました。
すると参加者から「先生、木の上に何か黒い固まりがあるよ!」と声が上がり、
先生が「あれはハシブトガラスの巣で木の枝でできてますね。ハンガーが好きなカラスはハンガーで、ハンガーでも青が好きなカラスは青いハンガーで巣を作ったり、カラスの好みで巣を作ります。」と説明があると、「人間みたい。」の声が聞こえました。
そんな中、耳を澄ますと自転車のブレーキのようなチャチャチャと鳥の声が聞こえてきます。先生が「あれはウグイスです。」と言うと、「えー、ホーホケキョでしょ?」と参加者から大きな声が上がりました。
「それも正解です。鳥には『地鳴き』と『さえずり』の2種類があり『さえずり』は縄張りを主張するときや繁殖期にオスがメスにアピールする声で、『地鳴き』は日常的に仲間同士で会話するときの鳴き声です。今聞こえているのはウグイスの『地鳴き』なんです。」と説明があり、みんな納得の表情です。
目的地の不忍の池に向かって多くの歩行者が行き交う道を移動していますが、「ウグイス」「シジュウカラ」「ハシブトガラス」「メジロ」「ヒヨドリ」「スズメ」「コゲラ」「キジバト」「カワラバト」など実にたくさんの鳥がいることがわかりました。
参加者は配布された資料に従って「ものさし鳥」の基準で分類された様々な鳥の中から確認できた鳥を探し、「見た」「声を聞いた」「さえずりを聞いた」の選択肢の中で、確認できた状況を記入しながら進んでいきます。
不忍池に到着すると、早速「目の前にたくさん留まっている白い鳥は何でしょうか?」と先生から質問が投げかけられました。参加者から「ウミネコ!」の声が上がりましたが、「惜しい!ウミネコより少し小さい鳥で、東京都の鳥ですね。」と先生からヒントが伝えられると「ユリカモメ!」と大きな声が聞こえました。
そこではたくさんの「ユリカモメ」が自由に動いていたのですが、急に多くの「ユリカモメ」や他の鳥たちが一ヶ所に向かって移動します。
みんなが不思議そうに見ていると、先生から「誰かがエサを撒いていますが、野鳥にエサをあげることはお勧めしません。自然に生きる鳥たちの習慣や生態に影響しますし、多くの違う鳥たちが一ヶ所に集まることで、伝染病が一気に蔓延してしまうこともあります。自然の鳥は自然に従って生きていくのがいちばんです。」と説明がありました。さらに「でも、ここの鳥たちは人を恐れないので、こうやって人間の近くにやってきます。鳥たちも自然でエサを探すより、不忍池に来た方がエサが手に入りやすいことを学習しているので、こうやってたくさんの鳥が集まっています。」と伝えます。
池に目を移すと「ユリカモメ」以外にもいろいろな水鳥などがいるのがわかります。
先生から「あれは『ウミネコ』ですね!鳴き声がネコに似ていますよね。あそこにいるのは『マガモ』で隣が『キンクロハジロ』です。『カルガモ』も奥の方にいますね。『オオバン』もいます。」と様々な鳥が紹介されます。
参加者は双眼鏡を見ながら、それぞれの鳥の説明が書かれた資料や先生の説明を確認しながら観察しています。
池を移動しながら枯れた蓮がたくさんある場所まで来ると「あそこに『アオサギ』の頭が見えます!ものさし鳥の『ハシブトガラス』より大きい全長95cmほどの鳥で日本のサギ類では最大級ですよ。」と先生から説明があると、「アオサギ」が羽ばたいて飛び立ちました。羽を広げた「アオサギ」はとても大きく、参加者からも驚きの声が聞こえます。
すると、木の枝を口にくわえながら飛んでいく大きな黒い鳥が目の前を横切りました。「これは『カワウ』ですね。巣作りで枝を使うのですが『カワウ』の糞には「リン」が多く含まれていて『カワウ』が集まる木で糞をすると、そのリンが作用して木を枯らしてしまうという問題が出ています。あそこの『カワウ』がたくさんとまっている木を見てください。」という先生の声に双眼鏡で見てみると、木の色は真っ白で緑色の葉は1枚もなく白い枝だけになっているのがわかりました。
先生から「先日下見に来たときは青い宝石と言われる『カワセミ』がいたのですが今日はいないですね。」と伝えられると、参加者からは「見たかった。」「残念。」の声が聞こえます。
あっという間に国立科学博物館に移動する時間となりました。
今日確認できた多くの鳥たちを目と耳で観察しながら博物館へ歩を進めます。
国立科学博物館に到着し、まずは地球館の3階へ向かいます。
ここでは多くの鳥の剥製が展示されており、先生から「多くの鳥がここにいます。大きさも違いますが他に何が違いますか?」と投げかけられます。
「色」「クチバシの形」「足の長さ」など様々な答えが聞こえてくると、先生は「全部正解です!例えば、タカの仲間の『ノスリ』がここにいます。『ノスリ』は肉食で獲物を見つけると獲物に向かって突進して仕留めるので、正面に目があります。でも今日実物を見た『スズメ』は草食です。肉食の『ノスリ』のような敵から身を守るために、四方八方見えるよう目が横についています。どの鳥にも意味があって、そのような形や色などになっているのです。」と説明がありました。
そして、日本館の2階へ移動します。
早速先生から「ここにいる『ヤマドリ』は日本の固有種で大陸から日本列島に移り住んだ鳥が独自の進化をした鳥や小笠原諸島しか生息していない島の固有種である『メグロ』は小笠原の自然環境の中で独自に進化した鳥です。」と伝えられます。
自然ではなかなか見ることのできない鳥の剥製とはいえ実物が目の前にいるので、じっくりと観察・確認しながら学ぶことができます。
すると先生は、北海道と青森の間の津軽海峡の間に線が引かれた日本地図の展示物を指し「この線をブラキストン線と言います。ブラキストン線より北の鳥たちと線より南の鳥たちの写真を見比べてください。」と伝えました。線から以北の「ヤマゲラ」「アオゲラ」「エナガ」などの写真と線から以南の「ヤマゲラ」「アオゲラ」「エナガ」などの写真が掲載されて対比できるようになっており、参加者から「北の方が体が大きい!」と声が上がります。先生は「大正解!北に行くと生き物の体が大きかったり北海道にしかいない『エゾジカ』や『エゾヒグマ』などの生き物がいたり、このブラキストン線を境に生き物に違いがあることがわかってきました。『ライチョウ』は世界にも生息していますが、日本の『ライチョウ』は標高の高い山の頂上付近に生息しています。この付近は敵となる『キツネ』など寒くて上がってこないので敵が少なく、日本の『ライチョウ』は逃げるのが下手と言われています。しかし、近年の温暖化により、気温が上昇してくると敵である『キツネ』もだんだんと山の頂上へ上がってこれるようになってきて、逃げるのが下手な『ライチョウ』は一瞬で絶滅してしまうのではないかと言われています。」と説明しました。
はたして、この説明を真剣に聞いている子どもたちが大人になる頃に「ライチョウ」は日本に生息しているのでしょうか。
午後の部の集合時間が近づくに従って、
午後の部の参加者が集まる頃には午前は晴天だった空がどんよりと灰色の雲に覆われ、冷たい風で気温も急に下がって一気に冬の気温となりました。
午前の部同様、資料を配布して双眼鏡の調整や使用方法を学びます。
すると、ポツポツと雨が降り出してきたので、午前とは順番を変えて、国立科学博物館の探検から始まりました。
雨がすぐ止むことを願って、まずは国立科学博物館へ移動、地球館を巡ります。
午前の部と同様に地球館を観察した後、先生から「そろそろ雨も上がると思いますので、バードウオッチングに出発しましょう!残りの日本館はバードウオッチングの後、戻ってきてまた見ましょう!」と案内がありました。
参加者の喜びの声を耳にしながら恐る恐る博物館の出口を出ると、雨が止んでいます!
不忍池までの道のりでたくさんの野鳥を観察しながら進むと「ユリカモメ」や「ウミネコ」「マガモ」「カルガモ」など多くの水鳥などが参加者を出迎えてくれました。
先生の「あ、鳴き声が聞こえます。『カワセミ』の鳴き声です!」の声で「見たい!」「どこにいるの?」と興奮気味の参加者も耳を澄ませます。
先生が自身の双眼鏡で「カワセミ」を探し「あの草むらの下の枝に1羽とその少し下にもう1羽います!」と伝えると、みんな双眼鏡を駆使しながら指示された場所を探します。発見した参加者は大声を上げそうになるのを抑えつつ「きれい!」「まるで宝石!」などと感嘆の言葉を発していました。
その様子を見ていた通行人なども寄ってきて一緒に「カワセミ」を探し、一瞬にして「カワセミ観察会」のようです。
先生も参加者も時間を忘れて「カワセミ」を見つめていました。
お腹の部分は少しオレンジ色がかり、背中は南国の青い海のような真っ青な色で、まさに「青い宝石」です。
「カワセミ」は少し場所を移動しながらも同じ場所に留まっているので、細かい所まで観察がしやすく、中には「カワセミ」の絵を描いている参加者もいるほどです。
先生から「雨が降ったことで、午前中には見られなかった鳥や鳥の行動を見ることができたのかもしれません。ずーっと観察していたいですが、時間に限りがあるので、他の場所ももう少し観察しながら国立科学博物館に戻りましょう。」との言葉があり、参加者は少し名残惜しそうに移動しました。
移動中も多くの野鳥の姿を確認したり鳴き声を聞いたりしながら、博物館へと戻ります。
博物館に到着し、午前の部同様に日本館でレクチャーを受け、帰りの時間が近づきます。
帰り支度を整えながら、先生からまとめのあいさつです。
「午前の部では観察できなかった『カワセミ』をじっくり観察もできましたね。これを機に鳥をはじめとする私たちを取り巻く生き物に興味を持っていただければと思います。『ライチョウ』のように、自然のバランスが少しでも崩れると色々な生き物が絶滅してしまいます。そのバランスを保つのも壊すのも人間次第と言っても過言ではありません。私たちの行動ひとつひとつが大きな影響を持っていることを忘れないでください。」の総括で終了となりました。
今回は「鳥」をテーマに、バードウォッチングと国立科学博物館の観察にチャレンジしました。
都会のど真ん中の公園には、実に多くの鳥が生息していることを改めて知ることができました。
自分の興味や視点を変えると、今まで知らなかった、見えなかった「事」や「物」が自分に入ってくることを知りました。
私たちは鳥をはじめ、多くの生き物の中で暮らしており、決して人間だけの世界で生きているのではなく、私たちはあくまでも鳥と同じように、地球や自然の「一員」であることをこの講座を通して実感できればと思います。
今、目の前にいる鳥も昆虫も色々な生き物も、人間の行いひとつで、もう二度とこの世では見られない絶滅種になり得ることを忘れずに、次世代を担う子どもたちにベストな状態でこの地球や自然を受け渡さなくてはと肝に銘じる次第です。
なお、大好評の講座につき、季節ごとでの実施を検討しています。
ツクル∞ジブン事務局
Email:eikoh-kikaku@eikoh.co.jp開催日時
2024年12月01日(日) 09:00~16:00申込締切
2024年11月26日(火)開催日時
2024年12月08日(日) 10:00~16:30申込締切
2024年12月03日(火)開催日時
2024年12月21日(土) 10:00~16:30申込締切
2024年12月16日(月)開催日時
2025年01月12日(日) 10:00~12:30申込締切
2025年01月09日(木)開催日時
2025年01月12日(日) 13:30~16:00申込締切
2025年01月09日(木)