• ツクル∞ジブン
• レポート
• 2025年02月17日

日本フィルオーケストラ探検隊(2025/01/26)

• 14
• 音楽
• 芸術
• 小学生向け
• オーケストラ
• 中学生向け
• 高校生向け

ツクル∞ジブンとは？

教室や教科書では学べない「本物・本当」の「めったにできない」体験に「チャレンジ」することで、これからの未来を自分で考え自分で決める「力」を育む、未来の自分探し講座です。
各分野で活躍するその道のプロが指導する、旅行会社等のレディメイドな講座でなく、楽しみながらも「学ぶ」という学習塾としての栄光の特徴をコンセプトとしたオリジナルの唯一無二の講座となります。

日本フィルハーモニー交響楽団全面協力

1956年創立の日本を代表する日本フィルハーモニー交響楽団の特別体験講座です。
オーケストラについてのワークショップの他、パイプオルガンやゲネプロ(本番間近に本番同様に舞台上で行う通し稽古)の見学等、盛りだくさんの「めったにできない・会えない・入れない」の連続体験の後はコンサート鑑賞でじっくりゆっくりオーケストラを堪能いただきます。

今回もキャンセル待ち多数の中での実施となりました。

「オペラシティコンサートホール」とは？

オペラシティコンサートホールの正式名称は『東京オペラシティコンサートホール：タケミツメモリアル』で、1997年9月10日にオープンしたコンサート専用ホールです。
音響的に最もよいとされている「シューボックスタイプ」で座席数1,632席を擁し、高い天井には変形ピラミッド型を採用、内装には振動体・共鳴体として優れている「天然木」のホワイトオークが使用されているなど、最新の音響技術を用いて設計されています。これにより、ホール自身で音が分離されて明瞭に響き、引き締まった低音とメローで艶のある音色を持つ巨大な楽器となります。天窓から溢れる自然光とともに、温かく心落ち着く空間となっています。

オーケストラや演奏曲などのレクチャー

集合時間になると特別に案内されてホール内に入りますが、ホール内は関係者もまばらでとても静かです。１階のロビー付近にて日本フィルハーモニーの高橋さんにご挨拶をしてプログラムがスタートとなります。

まずは、予め配布された「オーケストラの楽器たち」という資料をもとにオーケストラの楽器や編成などについてのレクチャーが始まります。
高橋さんからは、オーケストラの楽器は４種類に分けられることや各楽器の特徴、オーケストラの並び方に決まりがあることなどを学びます。

次に今日演奏される曲について簡単な説明がありました。
高橋さんから「今日最後に演奏される曲は有名な映画『シュルブールの雨傘』の交響組曲です。聞いたこともある人も多いかと思いますので、とても聞きやすい思います。そして、昨日と今日の２回公演です。昨日も同じ曲目で演奏したので、ゲネプロ（最終リハーサル）ではあくまでも気になる箇所のみ確認するかと思います。でもCocomiさんはしっかりとリハーサルされるかもしれません。」と伝えられます。
参加者からは「Cocomiさん、早く見てみたーい。」と聞こえてきました。

不思議な手拍子！？

高橋さんから「レクチャーが続いたので、ここで少し皆さんに体を動かしていただきます。」と案内がありました。
参加者が3グループに分けられ、「みなさんに手拍子をしていただきます。まず１のグループは『トン・トン・ト・ト・トーン』というリズムです。２のグループは１のグループの『トン・トン・ト・ト・トーン』のリズムに『エイ！』と掛け声が加わります。『トン・トン・ト・ト・トーン・エイ！』ですね。そして３のグループはふたつのグループの手拍子を聞いていてください。」と伝えられます。
それぞれのグループごとに練習した後、高橋さんの「せーの！」の合図で手拍子が始まります。
参加者は別のグループにつられないように集中しながら、自分たちの指示されたリズムの手拍子をし続けます。
１分ほど経って、高橋さんの「OKです！」という声で手拍子が止むと、３のグループから「最後、リズムが一緒になって終わりました！」と声が聞こえてきました。実際に手拍子を行っているとわからないのですが、聞いていた方々からは「最後が同時に終わった！」と伝えられます。
次にグループを変え、２グループは手拍子、１グループはその様子を聞くという役割で繰り返して一巡すると、高橋さんから「不思議でしょ！これも音楽ですよ。今度みんなでやってみてくださいね。」と終了となりました。

ホール探検へ出発！

高橋さんから「それでは、ホールに入りましょう。後部から入って、席を巡りながら、パイプオルガンの前を通って、また後部まで戻ります。色々な席からステージがどのように見えるかも確認してくださいね！」と案内があり、早速ホール内に入ります。
２枚の重厚な扉を開けると、一気に視界が広がります。
一面天然の木で作られたホールは、暖かい木のぬくもりを感じられるとともに、パイプオルガンの上の天井部分はピラミッド形の三角のガラス窓で構成された天井になっているので、自然光が入り、木のぬくもりと相まってとても暖かな様相になっています。
遠くのステージに目をやると、そこには私服の演奏者たちが歓談したり笑ったり、黙々と練習したりという緩やかな時間が流れています。
ステージ上は空席も目立ち、まだ全員集まっていないようです。
参加者はそのステージの後ろに聳え立つパイプオルガンを目指して、全く観客のいない席を巡りながら歩き続けます。
ステージを見下ろしながら回るように歩いてちょうどステージの真裏にあるパイプオルガンに近づくと、ステージ上が見下ろせるので、一人ひとりの演奏者たちの表情がよく見えます。
聳え立つパイプオルガンの前を通り、また後部付近に移動すると、高橋さんから「この辺りでゲネプロを聞きましょう。」と参加者は着席しました。

ゲネプロスタート！

ステージ上に目を移すと、空席も埋まり、演奏者全員が静かに着席しています。するとひとりの人物がステージ袖から中心に歩み寄り、演奏者たちに向かって挨拶をしています。今日の指揮者(マエストロ)の藤岡幸夫さんです。
さらに、コンサートプロデューサーと思われる方から、演奏者全員に対し、「おはようございます。今日もよろしくお願いします。本日はゲネプロ見学で栄光の方々が来られています。」とご案内いただきました。

マエストロのあたたかい歓迎とわかりやすい解説に感動！

すると指揮者は急に後ろを見て、大きな声で「栄光のみなさん、ようこそ！私たちは昨日、横浜で本番を行ったので、今日のゲネプロは気になる箇所だけ確認しますが、楽しんでいってくださいね！」と歓迎の言葉をくださいました。
通常コンサート前のセンシティブな時間に、こうした声掛けをいただくことだけでも特別なことなのです。
参加者は少し驚きながら、喜んで大きく手を振って「おはようございます！」「よろしくお願いします！」と指揮者に答えています。

指揮者はまた演奏者に向き直ると、練習したい曲の番号を伝えて、早速ゲネプロが始まります。

まずは武満徹作曲の『波の盆』の練習のようです。
穏やかな波のような、どこか懐かしい、メロディーが流れてきます。
指揮者は確認したい箇所を指示しては演奏させて確認していきます。
すると急に指揮者が後ろを振り返り、大きな声で私たちに向かって「この部分は、映画のワンシーンに合わせて流れる箇所で、残された夫とその長男がいがみ合っているところに、天国へ旅立った奥さんがふたりの前に現れ、仲良くさせようとするシーンなんです。海の波のように穏やかで、美しいシーンに合わせた、とてもきれいなメロディーなんです。」と説明がありました。
その説明で、参加者は頭の中でそのシーンを想像しながら、曲に聞き入ります。
『波の盆』の練習が終わり、休憩を挟んだ後にまたゲネプロが再開されます。
次は最後の楽曲『シェルブールの雨傘』の交響組曲のようです。
すると、またも指揮者が私たちに説明してくれます。
「これは有名なミシェル・ルグラン作曲の『シェルブールの雨傘』という映画で流れる曲を作曲者自ら組曲に発展させた名盤なんです。少しだけの確認になるので、残りは本番に期待してくだい！」
『シェルブールの雨傘』が終わると、再度、休憩となるのですが、少しの演奏者を残して多くの演奏者が引き上げていきます。
残された演奏者は指揮者を囲むように座り直します。

ソリストのCocomiさん登場！

すると、フルートを持った私服の女性が袖口から入ってきて、指揮者の横の譜面の前に立ちます。Cocomiさんです。
全員が揃ったところで、指揮者がくるっと私たちの方に向かって「栄光の皆さん、今日のソリストCocomiさんです。」の紹介で、参加者は大きな拍手で答えます。
さらに指揮者から「みなさん、先ほどの演奏者の数より減りましたよね。演奏する曲はモーツァルトの作曲で昔の曲なんです。モーツァルトの時代はこのくらいの少ない人数で演奏されていたので、この人数なんです。」との丁寧な説明がありました。
指揮者は演奏者に向き直り、確認する箇所をCocomiさんと確認し、ゲネプロが再開されます。
指揮者は常にソリストであるCocomiさんの意向や希望を確認しながら、先ほどの２曲とは異なり、かなり時間をかけてじっくり確認練習を行っています。
かなり練習したところで、指揮者が「他に気になる箇所はありあすか？」とCocomiさんに聞くと、「大丈夫です。」の返答があり、ゲネプロは終了となりました。
最後に指揮者から「栄光のみなさん、本番楽しみにしていてください！」と伝えられ、参加者は大きな拍手と「ありがとうございました！」と返しました。
ホールを出て、ロビーに集まった参加者は、まるで素晴らしい映画を見終わったときのような、少し興奮気味で感動の余韻に浸っているような表情をしていました。

その後、高橋さんが用意してくださった本物の楽器(フルート、トランペット、バイオリン)から子どもたちが好きな楽器を持って、今日のコンサートの大きなポスターの前で写真撮影会を行い、解散となりました。

満員の中、本番のコンサートがスタート！

参加者は各自昼食などを摂って、コンサート開場時間に再入場し、指定された席で本番を待ちます。
ゲネプロのときと打って変わって、客席は多くの観客で埋め尽くされています。
さらに、ステージ上を見ると、私服だった演奏者は男性は黒のタキシード、女性は黒のドレスなど正装に身を包み、全員着席しています。
すると舞台袖から黒のタキシードのマエストロ藤岡さんが現れて指揮台に立ちました。観客の大きな拍手に応えた後、指揮棒が振られコンサートがスタートします。

参加者はゲネプロで聞いたマエストロの説明や練習の時の音などを思い出しだしながら本番の曲の圧倒的な迫力を体全部で受け止め、聞き入っているようでした。

参加者の声

・ゲネプロを見学できる機会はないのでとても貴重な体験でした。
・オーケストラの編成など興味深いお話しも聞けてとても良かったです。
・Cocomiさんの演奏が聴くことができたことが良かった。
・本物に触れられたことが良かった。

まとめ

今回は特に指揮者の藤岡さんのあたたかい歓迎と、練習中にも関わらず、曲の背景などわかりやすい説明をしてくださったことで、コンサート鑑賞も大変充実したものとなりました。藤岡さんのご説明のもと、私たちは音楽への深い理解を得ることができ、多くの参加者から好評をいただくことができました。
さらに、Cocomiさんによるフルート協奏曲も参加者にとって、いつまでも心に残る響きになったのではないでしょうか。

このゲネプロ見学は、指揮者はもちろん演奏者やソリストの許可許諾のうえに成り立っています。
特に指揮者とソリストの理解なくしては実施できません。
本番前の最終確認として、集中して練習したいときに、外部の人たちが居合わせるということは非常に難しいことなのです。
しかし、日本フィルハーモニー交響楽団として、子どもたちに本物本当の姿を見せてあげたいという見地から特別にこのような機会を設けることができました。
かつ今回の指揮者の藤岡さんやソリストCocomiさんのお心遣いにより、さらに深い体験をさせていただくことができました。

これからもより多くの子どもたちに本物本当の体験を提供するために、日本フィルハーモニー交響楽団と次回の実施に向けて調整してまいります。