2024年01月14日(土)、栄光キャリアルートが実施した冬のツクル∞ジブン「日本フィル:オーケストラ探検隊」の様子をお伝えします。
[目次]
教室や教科書では学べない「本物・本当」の「めったにできない」体験に「チャレンジ」することで、これからの未来を自分で考え自分で決める「力」を育む、未来の自分探し講座です。
各分野で活躍するその道のプロが指導する、旅行会社等のレディメイドな講座でなく、楽しみながらも「学ぶ」という学習塾としての栄光の特徴をコンセプトとしたオリジナルの唯一無二の講座となります。
1956年創立の日本を代表する日本フィルハーモニー交響楽団の特別体験講座です。
ワークショップの他、演奏会本番直前のバックヤードツアーやゲネプロ(本番間近に本番同様に舞台上で行う通し稽古)の見学等、もりだくさんの「めったにできない・会えない・入れない」の連続体験のあとはコンサート鑑賞でじっくりゆっくりオーケストラを堪能いただきます。
今回は定員40名のところ、なんと200名以上ものキャンセル待ちとなる大人気の企画となりました。
当日は10時に東京芸術劇場に集合です。劇場は人もまばら、閑散として静まり返っています。
この「東京芸術劇場」は1990年竣工で劇場内には1,999席を要し、世界最大級のパイプオルガンのある「コンサートホール」です。まだ稼働していないエレベーターを階段代わりに昇り、1階席のホワイエ(入り口から客席までの間に設けられた広い通路の客だまりとも言います)にて、オーケストラについてのワークショップの始まりです。
ワークショップの資料となる「オーケストラの楽器たち」「日本のオーケストラ」が参加者に配られ、「オーケストラ探検隊」を担当してくださる日フィルの高橋さんより、まずはオーケストラの楽器についての説明です。
オーケストラの楽器は「弦楽器」「木管楽器」「金管楽器」「打楽器」の4種類に分けられますが「では質問です。みんなの知っているサックスは金属でできていますが、何楽器でしょうか?」という質問が投げかけられました。
参加者からは「金属からできているから金管楽器!」の声が多数聞こえますが「正解は木管楽器です!金属で作られているので、金管楽器かと思いますが、木管楽器はトランペットのような金管楽器と違い、唇の振動で音を出しません。トランペットはマウスピースに唇を押し当てて、唇を振動させて音を出しますよね。でも小学校で使うリコーダーのように、唇を振動させて音を出すのでなく、息を吹き込んで音を出したり「リード」を振動させて音を出したりする楽器を木管楽器と言います。」と説明がありました。参加者からは「知らなかった。」「初めて知った」の声が聞こえます。
4種類の楽器の説明の次はオーケストラの編成についてのレクチャーです。
先ほど配られた資料には、子どもでもわかりやすいように手書きでかわいくオーケストラの全メンバーが描かれていて、高橋さんから「第1ヴァイオリンは何人いるかな?」の質問に対し、参加者からは「16人!」と回答がありました。すると高橋さんから「正解!それでは第二ヴァイオリンの数は?」と質問があり、参加者からは「14人!」「正解!ではヴィオラの数は?」の質問に参加者から「12人!」と高橋さんの質問と参加者の回答が続きます。「ではチェロの人数は?」「10人!」「では、最後にコントラバスの人数は?」「8人!」そして高橋さんから「人数は2人ごと減っていきますよね!これは2人でひとつの譜面台を見るので2人ずつなんです。ちなみに、コントラバスの人数を2倍すると第1ヴァイオリンの人数になるんですよ!」と説明がありました。
人数などの説明を受けたのち、各楽器などの役割のレクチャーがあり、最後に「指揮者の役割」についてです。
「みなさん、指揮者のお仕事は何でしょうか?」の問いかけに参加者からは「リズムを知らせる。」「棒を振る。」などの声が上がります。
高橋さんから「そう、リズムもそうですね。指揮者はたくさんの演奏者に、演奏の始めや終わりの合図、曲の速さリズム、響きのバランスなどを整えるのもお仕事なんですよ。曲全体のイメージをまとめ、オーケストラ全員で心のこもった演奏ができるようにするんです。」と説明がありました。
そして次はパイプオルガンの見学です。「この東京芸術劇場で有名な世界最大級のパイプオルガンを見に行きましょう!このパイプオルガンは、世界でも珍しく表と裏の2面の回転式になっています。一方はルネサンスとバロックの両方の音が再現できるパイプオルガンで、もう一方はフランス古典やロマン派の音を奏でることができるオルガンになっているんですよ!」の説明があり、参加者からは感嘆の声が漏れていました。
現在はパイプオルガンが大きな板で隠されているので、横から少し見える程度となりますが、全員でコンサートホールに入って2階の左バルコニー席の一番奥まで移動します。
パイプオルガンは厚い板で隠されていますが、わずかに横からその荘厳なパイプの一部が見え、参加者はじっくりと眺めたりカメラに収めたりしています。
そして、すぐ横のステージを見下ろすと、ステージ上では普段着で楽器を携えた人がちらほらと見えます。音を出して練習している人や笑いながら会話している人など、とても和やかです。
パイプオルガン見学のあとは一旦ホールから出て、ホワイエに再集合です。
高橋さんからは「ステージには演奏家が集まり始めていましたね。それではこれからゲネプロ(ゲネラールプローベの略で本番前の総舞台稽古)が始まります。今日は演目のひとつであるピアノとオーケストラが一緒に演奏するピアノ協奏曲を練習します。」と説明がありました。
ホールには他の観客は一切おらず、まるで私たちの貸切状態です。
ステージ上では、私服ながらオーケストラ全員とピアニストが全員着席して、指揮者を待っています。
そしてそこに指揮者が現れます。
ステージ上はしーんと静まりかえり、まるで本番で指揮者の開始の合図を待っているようです。
指揮者はメンバーへ挨拶し、すぐに本番さながらに切り替えてスタンバイ、指揮棒が振られると演奏が始まります。
他の観客がいないからでしょうか、音がとても響き、ストレートに体に反響してきます。
参加者もその迫力に圧倒され、演奏に見入っています。
練習とはいえ、本番前の1回限りの練習なのでみんな真剣そのものです。
あっという間の第一楽章が終わり、練習は続いていますが、参加者は静かにホールを出て、一度ホワイエに再集合します。
参加者は夢を見ているような少しぼーっとしている表情をしています。
高橋さんからの「どうでしたか?貸切状態でしたね。」という言葉に続いて「それでは、これからバックステージ見学に行きましょう!」の声で、参加者の表情もやっと現実に戻ってきました。
バックステージに入ると、高橋さんから「この部屋は指揮者のお部屋です。あちらのお部屋はピアニストのお部屋です。」などの説明があります。
そしてステージ真横にある扉に小窓が付いており、高橋さんがその扉をめくると、扉のすぐ向こうでゲネプロ中のオーケストラの様子が目の前に見えます。
参加者は一人ひとり小窓からステージ上を見て、さらに奥へと移動します。
「ここは男性の演奏家の控室で、あちらは女性の控室です。ここが音響室です。」の説明があり、普段は見ることのできない入ることのできないバックステージに参加者は興味津々の様子でした。
バックステージ見学を終え、再度ホワイエにて再集合となります。
次は「日本のオーケストラ」という資料を使って、日本オーケストラ連盟に所属するオーケストラの団体数や楽団員数、日本のどこにあるのかなどの説明を受けます。
そして次に、オーケストラの役割として、通常のコンサートホールでの公演以外に、色々な地域の学校や病院、被災地などに出向いての演奏活動や国際交流など色々な活動を行っているという説明があります。
参加者からは「色々なことをやってるんだね。」との声が聞こえます。
さらに高橋さんから、オーケストラの楽団員になるにはということで、楽器の技術はもちろん、実に高い倍率の中から一握りの方が選ばれることなどの説明がありました。
演奏する楽団員だけなく予算を組んだりコンサートホールなどの会場選びや予約、指揮者などの出演交渉など数年先までスケジュールを組んだりする「事務局」の方々や、膨大な数の楽譜を管理したり楽団員がいつでも使用できるように手配などを行ったりする「ライブラリアン」、音響や照明の方々、機材を運搬したり設置する方々、ステージの進行の全てを司る「ステージマネジャー」など多くのプロフェッショナルが関わり、時間をかけて準備を行うことで、ひとつのコンサートがはじめて実現することを参加者は学びます。
参加者からは「目に見えない縁の下の力持ちがたくさんいるんだね。」という声が聞えました。
そして日フィルの益満さんから今日の曲目に関してやそれぞれの作曲家についての説明、その当時の時代背景などのレクチャーを受けます。
「曲が作られた時代にその作曲家がどのような物を見て聞いて考え、どのような思いを曲を通して伝えたかったのかを想像しながら一曲一曲楽しんでください。」とアドバイスをいただきます。
次に演奏家の立場として、最近までチェロの演奏家で、現在は日フィルの理事を務める後藤さんからお話しをいただきます。
後藤さんから「何か質問はありますか?」という問いに対し、参加者から「演奏中、喉が渇いたらどうするんですか?」の質問がありました。
後藤さんは「みなさんは、試験中に喉が渇いたらどうしますか?試験中は飲めないですよね。演奏家も演奏中は飲めません。ですので、演奏家はいつも逆算して物事を考え行動しています。例えば、今日14時から演奏本番であれば、1時間前には飲食を済ませ、本番中に喉が渇かないようにしています。ある目標目的に対し、今何をやるべきかを常に考え行動しています。でも、本番の演奏に集中していると、喉が渇くことも忘れてしまいますよ。」と子どもたちでもわかりやすいように伝えてくれます。
さらに参加者から「本番中に間違えてしまうことはありますか?」の質問があり、後藤さんは「みなさんも試験で間違えてしまうことなどありますよね。誰でも間違えることはあります。プロの演奏家でもそうです。間違えることを恐れてはだめです。大切なことは、例えば本番中に間違えたらそこで立ち止まらずに気持ちを切り替えて、次に引きずらないことです。」
さらに、「私たちプロの演奏家は間違える確率を少しでも低くするために練習を行うのです。」とのお話しがありました。
そしてコンサートのチケットを受け取ったのち昼食休憩を終えて、14時からの開演に備えて各自の席に着席します。
14時となり、先ほどのゲネプロと違い、多くの観客と礼服に身を包んだ演奏家たちが指揮者を待っています。
そこに指揮者が入ってきて盛大な拍手のなか指揮棒が振られると、静けさを破るように演奏が開始されました。
2曲目はゲネプロで聞いた「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」です。
ホルンの響きで曲がスタートすると、参加者はゲネプロで聞いたときと聞き比べながら演奏に吸い込まれているような様子で見つめています。
その後、誰もが知っている曲を含めた4曲が演奏され、最後にアンコールとしてニューイヤーコンサートらしく、ヨハン・シュトラウスの「ラデッキー行進曲」が演奏され、観客全員での手拍子で盛り上がっての終了となりました。
今回はオーケストラをテーマに、いつもは見れない・入れない・会えない・できないことに色々とチャレンジしました。
高橋さんの「オーケストラには言語はいりません。音楽は世界共通の言葉です。そしてオーケストラは人々の心を潤し、平和を愛する心を呼び覚まします。すさんだ社会を変え、芸術文化のあふれる環境を作るために活動しています。」という言葉が印象的でした。
また、後藤さんの「何かの目的・目標に対し、逆算して今何をやるべきかを考え行動する。」「失敗は誰でもする。失敗を恐れないで、もし失敗したらそれに引きずられないことが大切。」という言葉は何にでも共通することで、日常生活に置き換えて捉えることができると感じました。
今日のこの貴重な体験を通し、ひとりでも多くの子どもが失敗を恐れずに色々なことに果敢に挑戦すると同時に、平和を愛する心を育み将来どのようなかたちであれ、平和が溢れる社会づくりに貢献してもらえればと強く願っています。
ツクル∞ジブン事務局
Email:eikoh-kikaku@eikoh.co.jp開催日時
2024年12月01日(日) 09:00~16:00申込締切
2024年11月26日(火)開催日時
2024年12月08日(日) 10:00~16:30申込締切
2024年12月03日(火)開催日時
2024年12月14日(土) 10:00~16:30申込締切
2024年12月09日(月)開催日時
2024年12月21日(土) 10:00~16:30申込締切
2024年12月16日(月)開催日時
2024年12月23日(月) 00:00~00:00申込締切
2024年10月31日(木)